このレビューはネタバレを含みます
感動はしたけど、泣かなかった。感動という感情でおさめたくない素晴らしい映画。
朽ちてるのに咲く花。
冬の桜の木を見て老夫婦が言う。
妻は桜を見れずに死ぬ。末期ガンもう助からないから痛みだけ緩和して、痩せていく妻とのセックス。かつて愛を誓った指輪のサイズが合わない。何で白無垢袴で指輪交換なんだろう。結婚とは不思議な行為に思えてくる。
夫と妻の秘め事があると宣伝で使われているが、夫の秘め事は宣伝で既にわかり、妻の秘め事は映画冒頭でわかる。
この物語の秘め事は最後に夫が言う言葉。
夫婦のセックスだと思う。
夫の目線の本作、夫は妻の思いをすべては知らないように思えた。
ただ重なり合った肌は誰よりも知っている。誰かの何かを知る時どこまで入り込むのか。触れるのか。触れたいと感じる瞬間、それが人間でも人型をしたドールでもいいのだろうか。
そういえば哲雄は人間のような名前をした犬のことが気になるよな。
蒼井さんも素晴らしいけど、高橋一生さんは作品の中完璧な北村哲雄だった。
きたろうさん、渡辺えりさんも本当に素敵で、流れる空気が暖かい。
今回はピエール瀧さんのポジションがギャグようなポイントとなっている。タナダユキ監督作品の代表作でもある、百万円と苦虫女でも罪は描かれていて。演者さんも思う事はあったのかもしれないが、瀧さんがこの役で良かったと思った。
不思議な体験をしたような物語。
劇場で是非!!