明宏

イン・ザ・ハイツの明宏のレビュー・感想・評価

イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)
4.8
ワシントンハイツに住む人ヒスパニック系アメリカ人の群像ミュージカル。
メインキャラクターそれぞれをちゃんと曲でフィーチャーしていて、さらにメインキャラ以外のハイツの人々の生活を細かいカットで沢山取り上げていて、この単体のドラマにとどまらないコミュニティを描く物語として作られていて面白かった。

カット数の多さ自体もメリハリが付いていてダンスは観やすいし曲が映像とちゃんと連動して盛り上がるように編集されていてとにかく楽しかった。最初の3曲くらいは高揚感で涙出ちゃってた。曲がとにかくどれも良い。この前見た邦画『サウダージ』でも登場人物が心情を吐露するところからフリースタイルでラップし始めてそれがシームレスに音楽となって物語のテーマをさらに深く語るって形になっていて、この映画でもまさしく、登場人物の感情や現状への考えの吐露がラップになって音楽になって、っていう流れがすごく観ている側にも伝わるし、ミュージカルとも相性良くて観ていて楽しかった。


ラスト、これまで過去を語ってきたウスナビがいた場所がハイツだったというシーン。これ、舞台用のための演出なんだろうなと思った。舞台だったら背景は浜辺を描いた大道具で良いから。浜辺を示すための大道具かと思ったら、本当に浜辺の絵を描いた壁だったんかい!という舞台ならではの仕掛けだったんじゃないかと推測。
(追記:YouTubeで舞台版断片的な映像を幾つか観ていたけどそんなことは無さそうでした)

本国で議論されている、マイノリティ俳優の中でも肌の色が薄い俳優がメインキャストに起用されているってのは結構映画観ていると思うことが多い。特に女性俳優にその傾向があるなと思うし、インザハイツを契機にマイノリティ描写がさらに視野の広いものになるといいけど。
明宏

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