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ある船頭の話のakitoのネタバレレビュー・内容・結末

ある船頭の話(2019年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

この作品は映画として見ることができない。セリフや画面で語られ過ぎていて、没入できないし心が揺さぶられない。テレビドラマのよう。

自然と文明の進歩、老人の男と少女、罪と赦し、これらを薄層で見せ、よくわからない演出(予算が無くて本当に表現したかったことができなかったのかもしれないが)が挟まれる。船の乗客に有名俳優を当て、人生を語らせるが陳腐で意味不明。

橋ができるまではロングショットで喋らせて、橋が完成してからはアップで喋らせることで、文明化した息苦しさを表現していると思うが、ロングショットの多用がくど過ぎる。素晴らしい自然が周りにあるせいで、見ている側は人間にフォーカスできない。そのせいで感情移入もできないし、逆に嫌悪も抱きにくい。

主人公である男の内面をもっと丁寧に描いてほしかった。孤独であるような演出をしているにもかかわらず、やさしく楽しく関わる人間が何人かいるし中途半端。
過去の罪に対してキリスト教の赦しを求めているのは分かるが、それならばより宗教的な描き方をしなければ納得がいかない。
山々の緑に対し反対色である赤を見せ、画を美しくしたいがために、血や炎を安直に演出したように思えてしまう。

オダギリジョーさんは本当にこれが撮りたかったのか?
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