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ハミングバード・プロジェクト 0.001 秒の男たちのaririのレビュー・感想・評価

3.8
タイトルはハチドリ(世界最小の鳥で全長6cmほど。毎秒55回空中でホバリング出来る飛行能力を持つ)が1回の羽ばたきにかかる秒数から。証券取引とかITとか…それ以前に数字を見たら頭が痛くなるタイプの完全文系人間の私が色々調べた所、話の概要はザックリこんな感じ。 『カンザス州のデータセンターとNYの証券取引所をファイバーで一度も曲がらず真っ直ぐ、真っ直ぐ、繋いで、ミリ秒短縮したら高速で売買が可能な為、年商500億円以上の儲けが得られる。ただし土地は一万件以上あるし、ミリ秒短縮する為にアルゴリズムを考えなければいけない。』 で、ヴィンセントは金や話術で土地を買いまくって地下を掘り進めていき、アントンはアルゴリズムを考えるため昼夜を問わずパソコンと睨めっこ・・・。ハチドリのように止まったら死ぬとばかりに、命や精神を削りまくって奮闘する二人。ヴィンセント演じるジェシー・アイゼンバーグは「ソーシャル・ネットワーク」でもお馴染みIT系のオタクをやらせたら右に出る者はいない俳優で、今回も野心に燃えつつ実は心の奥にある恐怖と闘う男という設定を全身で表現していて素晴らしかった。長身イケメンハンサムを封印してハゲヅラを付けたアレクサンダー・スカルスガルドも、小心者だが人が好い天才プログラマーとして好演。実話とはかなり変更点があるらしいが、正直あらすじそのままだと映画としてはかなり地味になると思うので、これくらいのドラマはあって良かったのではないだろうか。最初はヴィンセントがここまで無茶なプロジェクトを進める理由は単に金儲けの為だと思っていたのだが、土地を巡ってアーミッシュと対立する場面からそれだけではない事が示唆されていく。個人的にはその部分をもう少し分かりやすく描写してくれればもっと面白かった。
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