マ帆

ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜のマ帆のレビュー・感想・評価

4.9
"どんな話でも聞けますか?
白人について"

ヘルプと呼ばれる黒人メイドの体験談を集めた本の執筆を決めた白人ライター、スキーターの取材を軸に進んでくストーリー。高校生の時ジャケ借りしたので本編の衝撃も2倍だった傑作。重いテーマなのに爽快感も笑いも一つの本が出版されるまでの熱いドラマもあって大好きな映画です。

オープニングから引き込まれて、デトロイトやそれでも夜は明けるのそれとはまた違う白人マダム達の陰湿な人種差別に顔が歪む。

初見後、監督どんな人??というのが気になって調べたら実際にヘルプに育てられた白人で(原作の著者も同じ境遇で幼馴染同士だった)、だからこのシリアス過ぎない絶妙さ!と納得したと同時に辛くなった記憶がある。この映画には当事者が実際に感じた空気や感覚や体験が組み込まれているわけで それがラストの悲痛さを一気にリアルにするので。。。差別意識を持って生まれる赤ちゃんなんていないのにそれを時間をかけ丁寧に植え付けるのが親だなんてそんなグロいこと無い。

エマ石を始めとするキャスティングもこれ以外考えられないくらい完璧な布陣。
白人マダム軍団の中心人物を演じるブライス・ダラス・ハワードは相変わらずしてやられる系の役柄と取り繕った笑顔がうますぎるし、優しい白人に迎合しない存在感と表情で重厚さを与えるヴィオラ・デイヴィスは流石の一言だし、この映画のコミカルさの9割を受け持つオクタヴィア・スペンサーはいつだって最高、、、

個人的に鈍感でド天然でネジ3つくらい外れちゃってる役柄のジェシカ・チャスティンは珍しい気がするけどこれもすごくハマり役で、自分がこの映画を何度観ても泣かされる理由はほとんどここにあります

" 朝起きるたびに自分に問うのです
今日あのマヌケどもが私に言う悪口を私は信じるのか "
あの劣等感に関する助言は彼女自身が自分に言い聞かせてきた言葉でもあったのかなと考えるとまた泣ける。

エンドロールのインパクト。
マ帆

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