大きな『社会』という輪から外れてしまった人間たちが必死で『普通』になろうと静かに奮闘する話、だと感じました。
でも、『普通』ってなんなんでしょうか。人よりも繊細なだけ、物事に敏感なだけ、大きな音が苦手なだけ、こだわりのルーティーンがあるだけ。もちろん社会で生活するにあたって多少は周りの人間と合わないこともあるかもしれません。でもそれを『異常』と冷たい目で見るのは違う気がします。彼らは彼らなりに一生懸命毎日を生きてる。無理に受け入れろなんて言わないです。人間、みんながみんな全く同じようにできてるわけじゃないんですから、自分と少し違う部分があるんだなと理解できればいいのになあ。
自分の居場所がないって思った時の絶望感って言葉にできないほどです。
冒頭から重いシーンで始まり、これが続くのかとちょっと気が滅入りましたが、弱々しいけど柔らかくあたたかい光が溢れる朝焼けで救われました。
今作も綾野剛が大活躍。家族からも除け者にされ幻聴に悩むどこか弱々しいチュウさん役がハマりすぎていて恐ろしかったです。優しいけどどこか生気のない目。真摯に役と向き合って撮影したんだろうなというのが手に取るように分かります。剛さんがチュウさんを演じてくれてよかった。