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閉鎖病棟ーそれぞれの朝ーのdaruma38のレビュー・感想・評価

閉鎖病棟ーそれぞれの朝ー(2019年製作の映画)
3.8
綾野剛が出演しているので尖った演技を期待し、あらすじも知らずに観たのだが、映画館になぜか小学生の家族連れがいたのが気になった。これはR指定でなかったか?

冒頭の死刑執行シーン。ロープが意外と太いこと、3つスイッチを押す場面など、ここまでリアルなのは観たことがない。法務大臣は署名するのみだが、この仕事をしている人はどんな気持ちか気になるところ。

その後は、淡々と病院内の出来事や患者の過去が描かれると思いきや、ユキが病院に戻ってきてから、結末へ向けて3つの歯車が動き始める。

精神障害ということで家族からでさえ偏見の目で見られ、病院に押し込めておかれ、相当、世間に対し疎外感がある。みんな病院内では他人の過去のことを触れず、助け合って生活している。それを妬み、誰からも相手にされない男。何か卑劣なこと何をやらかす前兆が伏線として出てくる。男はその言動により、病院内でさえ異分子、偏見の目で見られた。最期は自業自得で同情の余地全くゼロだが、ある意味、鶴瓶が云う肝っ玉の小さいかわいそうな奴かもしれない。

綾野剛が退院する時、患者仲間から「もうここには帰って来るなよ」と言われ、婦長さんには「辛かったら帰ってきてもいいのよ」と言われる。どちらもすごく優しい。

死刑囚ならずとも、人は遅かれ早かれジ・エンドとなる日が来る。しかし、その日までなにごとも諦めず、できることはやる。それが最後のシーンのメッセージであったかと思う。最後の最後で救われた。
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