近未来都市のディストピアが描かれる、SF映画黎明期の傑作ということで、見よう見ようと思い続けてやっと見た。
メトロポリスの摩天楼は確かにブレードランナーの都市感とかに引き継がれてるなと思わされる。
サイレント映画だから没入しづらいきらいがあるけれど、映像表現は今見ても新しさを感じられるものが随所に。
メトロポリスの電力を担う心臓・ヘルツマシーネに酷使され、蒸気が噴出する事故に巻き込まれる労働者の様は、かつての奴隷王朝のイメージと重ねられる。
富裕と貧困の格差が最大になった時、バベルの塔や、ヨハネ黙示録に登場する娼婦バビロンなどのイメージが立ち現れる。崩壊、裁きの象徴。
地下の労働者層はアンドロイド扮する偽マリアに扇動されてヘルツマシーネを破壊しにかかるが、それにより自らの地下居住区に水没を招くことに。居住区には彼らの子供たちがいる。一番最下層で割りを食うのはいつも子供なのだろうか。
「脳と手の媒介者は、心でなくてはならない」(マリア談)
心の喪失による、脳(知識階級・富裕層)と手(生産層・貧困層)との間の疎外。格差は当時の流れから拡がる一方だと思うので、思わされることはとても多い。
格差社会に関連して言えば、労働階層の地下居住区に水が雪崩れ込み水没していくさまは、パラサイトでも見受けられた。
影響を受けたのだろうか。