みおこし

フォードvsフェラーリのみおこしのレビュー・感想・評価

フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)
4.0
ひと足お先に試写会にて鑑賞!早くもクリスチャン・ベールがゴールデン・グローブ賞主演男優賞(ドラマ部門)にノミネートされるなど、オスカーに大きく絡んで来そうな傑作でした!!

周りの方から「あんまり車とかレースは興味ないんだよねぇ...」という声を聴いたのですが、私もまさしくその辺りに疎いからちょっと構えていたところがあったのですが、そんな懸念も何のその!
大企業と中小企業の真っ向勝負、男と男の友情物語、そして組織の一員として奮闘する企業戦士の葛藤...。誰もが共感し得るテーマがたくさん詰まった、骨太な人間ドラマでした。
不利な状況の中で、必ず成果を出さなければならない仕事に直面している人が観ると、余計にこみ上がってくるものがあるのではないでしょうか。まさに今の私なんですけどね!(笑)

かつてアメリカを牽引していたフォード社はいつしかレーシングカー部門が窮地に追い込まれており、1966年のル・マンでの勝利を命題として課せられていました。そこで、マット・デイモン扮するシェルビー率いるシェルビー・アメリカン社にフォードGTの改良と運営を依頼。ベール演じる凄腕の英国人レーサー、マイルズが起用され、勝利に向けて2人はタッグを組むことに...。上記のあらすじを読んだだけでは絶対に分からない、熱い熱い裏側がそこにはあって、しかもこれが実話だと思うとラストはただただ涙。
ル・マンという最高の舞台に、全てを賭けて挑んだシェルビーとマイルズの献身には頭が下がるとともに、絶対に諦めない雑草魂が垣間見えて、とにかく「明日も頑張ろう!」と鼓舞されるばかり。一瞬の気の迷いが命取りになる壮絶な死闘をどこまでもリアルに描き切った終盤のレースは、ここ最近観た映画の中で最も手に汗握るシーン。2人の思いに呼応するかのような、あのエンジン音も耳から離れません...!全くレースの知識がない私でも釘付けになってしまいました。7,000回転の世界、うーん、深い!

走っているときは一人かもしれないけれど、家族の支えやスポンサーの協力、そしてワークスチームの努力など全てが1つになって、ようやく成立するのがル・マンへの出場。成功のためにはなんといってもチームワークが不可欠だけど、ひしひしとそれを感じさせられました。
高みを目指す過程で、邪魔をしてくる存在は内部にも外部にもいるというリアリティもしっかり描かれていて、そこにもまた親近感。

ブリティッシュアクセントが印象的で、いつも飄々としているのに試合のことになるとカッとなる不器用なマイルズ役は、これまたベールのハマり役。『バイス』ではもはや彼だと判別できなかったから(笑)ひさびさに生身の彼を見て、その演技力に圧倒されました。デイモンの演技にもついつい胸が熱くなって涙...。憎まれ役を嬉々として演じていたジョシュ・ルーカスや、マイルズの息子役のノアくんなど、とにかく脇を固める俳優さんも皆素晴らしかった!
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