エンジン音と寄りのショット。レースの臨場感と車の走る景色の美しさ。呼吸を忘れ手に汗握る。
夢中になるってこういうこと。圧倒的な技を持ちながら純粋すぎるケンと、経験も知名度もありビジネスにも長けたシェル。理解し信頼できる相手と組む仕事は楽しい。クリスチャン・ベイルの無骨な役は意外だが、飄々とした風情がよい。
ケンの家族とのシーンも素敵だ。ピーターの父への憧れや心配の表情。ひとり工場でラジオを聴くケンをモリーが訪ねる場面は、背景の飛行機や夜景、音楽も美しい。
フォードvsフェラーリと言いながら、チーム・シェルビーvsフォード上層部という構図もまたあるある。フォード内部のありがちな腐り加減にうんざりし、そんな企業側の価値軸とは別の「もっと速く」を純粋に求めるケンとシェルのバディ感に憧れる。
タイトルにもうひと工夫ほしいなぁ。