元レーシングドライバーのキャロル・シェルビーが、ル・マン24時間レースで偏屈な英国人レーサーとリベンジを図る。
というあらすじだけからは想像がつかない豊かさがある。
60年代というフォードにとっての正念場の時代に非常に人間臭い闘いが繰り広げられているのは、企業モノとしても成立するし、米国の60年代物語は時代劇としても見れる。人間ドラマにも見れれば、ル・マンを上手に魔物化したスポーツ映画にも見れるし、修理工やデザイナーという切り方では職人映画にもなる。
車のデザインにしろ、服の汗臭さにしろ、
アメリカ企業がヨーロッパを力づくで乗っ取りに行く勢いに乗っかると、全てカッコよく見えてしまうのは魔法。
観る人によってジャンルが変わる映画だが、深い事を考えさせず、人々の葛藤とプライドをレーシングカーのスピード感で描き切った点も制作者の精神として非常に素敵。