監督ジェームズ・マンゴールドは、粗野で武骨な男くさい映画つくりで通してきた作風に本作はジャストフィットしている。
また、伝記映画のW主演となるマット・デイモンとクリスチャン・ベイルの二枚看板もそれぞれハマり役だ。
1966年の王者フェラーリが君臨するル・マン24時間を舞台とした迫力のカーレース。エンジンの爆音、タイヤのきしむ音など、CGを用いない効果による臨場感溢れる音響はさすがの賜物だ。
モータースポーツの特有である企業間戦争や、フォード社内の内戦による確執、ふたりのおとこの友情の物語といった上質な人間ドラマがこの映画の土台となっている。
難点はアメリカ寄りになり過ぎているため、フェラーリの描写に欠けるところ。