すかちん

田園交響楽のすかちんのレビュー・感想・評価

田園交響楽(1938年製作の映画)
2.0
<原節子 生誕100年>特集より。

原作はアンドレ・ジッドでキリスト者の苦悩に関する告白小説らしい。本作でも、原作同様に、ヨハネ伝第9章41節、ロマ書第7章9節が引用される。盲目の少女・雪子=原節子を、牧師=高田稔が救い出し、育て上げていくところはヘレン・ケラーとサリヴァン先生の『奇跡の人』ばりだが、牧師の妻やら弟やらが絡んで、なまぐさくいやらしい愛憎劇となり、しかも監督は収拾をつけられなくなったのだろう、結末を観る者に委ねて逃げる。この牧師は、いまの時代だったらまあ、キモくてミソジニーのおっさんと一刀両断されるところか。

原節子は、野生の少女のままわしわしと白飯を貪り食らう姿、春の原野(北海道)をそぞろ歩く姿、オーケストラの演奏にうっとり聞き惚れる姿、と魅力的なショットがぽつぽつあるけれど、あの大きく美しい瞳がぱっちりと開くのは終盤までありません、念のため。

あと、冒頭の炉端の場面でちょこっと登場する村の男は、ノー・クレジットだけど、宇野重吉ですかね。
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