基本形SF王道貴種流離譚……ただし物語全体の冒頭が、2時間半続く作品。
本作は有名な古典SFの正当過ぎる映画化で、とにかく贅沢な絵が続く。この映画の10分の1の制作費でも日本なら超大作と言われるレベルだろう。
背景にしっかりと映される砂漠は、ここが異星であるという感覚をしっかりと画面で見せつけてくる。ここまで凝っているのは圧巻としか言いようがない。
長尺で、大切に大切に進んでいくストーリーテリングは、監督が原作を本当に大切にしている事が伝わってくる。
作品の「質」そのものは素晴らしい。しかし視聴している感覚としては「ホビット」や「ハリー・ポッター」のような大型の作品を途中から見せられているような気分になる。あまりにもテンポがゆったりと進み過ぎて、全然話が進まない。
確かに物語そのものは面白いが、前提知識がない状態では物語は中途半端な所で、終わったようにしか見えない。本作は最近流行りの前後編があることは隠すタイプの作品だった。
この作品の点数は難しい。完全に続編がある事を前提した、序盤のみの映画で、貴種流離譚の旅立ちの部分で終わっている。なんとも歯切れが悪い。後半で一気に評価が変わっても驚かないが、今は控えめな評価で止めておこう。