半月星人

DUNE/デューン 砂の惑星の半月星人のレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.1
 歴史ミステリーで政治映画だと思った。その理由は、描かれている小道具など部分的なモチーフに起因する。ユエはいわゆる裏切り者のユダとして描かれているが、中国人で医者って絶対コロナの出来事を描いているに違いない。というわけで、毒ガスの差し歯との相性がより役とハマっているのが面白い。ダンカンの死は平家物語の弁慶でほぼ間違いないし、ハルコンネンが浸かってたのが最初はサウナの水蒸気だったのに後半は石油の中、って言うのも歴史の流れを示唆しているように感じられる。スパイスのために歩んだロードはシルク・ロードで、その後待っているのは黒人との闘い。そして、植民地の開拓。

 1度観ただけではそれしかすくい取れなかったけど、情報量の多過ぎる『Dune/デューン 砂の惑星 Part One』鑑賞後、自分は5つの軸で内容を整理していたと感じる。

①多国籍宗教
②世界史
③政治/経済の歴史
④音響/画面比率など映像技術
⑤ホドロフスキー/デヴィッド・リンチのDune

 デヴィッド・リンチが制作したものは、いわゆる文学らしさと挟み込まれる幻覚系コンピューター・シーケンスで、全体の直線的な時の流れが際立っていた。

 このドゥニ・ヴィルヌーヴの場合は、②の世界史の直線を①のキリストと聖母マリアを示すポール&母を通して辿るような直線性を持っている。その際にリンチは西洋キリスト美術で抑えられていたのと同じように、感情的表現を少なくしているが、ヴィルヌーヴは逆に性的で感情的な描写を抑制していない。むしろ心理=真理と言えるほど、背景を抑制してそれらを際立たせた表現をしている。
半月星人

半月星人