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DUNE/デューン 砂の惑星の2049のレビュー・感想・評価

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
4.0
 様々なSF作品に影響を与えたSF大河小説の5度目の映像化。アレハンドロ・ホドロフスキーは映画化を断念、デイヴィッド・リンチの監督作は酷評の嵐で失敗作とされてきた。
 
 本作の映画化を出来る監督はドゥニ・ヴィルヌーブしか考えられないと個人的には思っている。なんせあのブレードランナーの続編を大成功させた監督なのだから。彼以外の監督では考えられない。

 ドゥニ・ヴィルヌーブは『メッセージ』『ブレードランナー2049』というSF大作を監督しており、どちらも脚本でいうところのソフトストーリーと言える重厚で叙情的な作品で、人間の心の機敏を丁寧に描いてきた。それでいて画面の画作りは非常に美しくどのシーンを切り取っても完璧な画になる類稀なる才能を持った監督だ。

 デューンはリンチ版を幼い頃に見たきりで小説も読んでおらず、ストーリーもほとんど覚えていない。まっさらな状態で映画館に足を運んだ。

 最初から2部作のつもりで作っているだけあり、ストーリーの全体像はあまり掴めず、ティモシー・シャラメ演じる主人公の葛藤と成長にフォーカスした作品になっている。これ正にドゥニ・ヴィルヌーブ作品らしい作りであり期待した通り。

 砂漠や巨大な宇宙船、大地を揺るがし進むサンドワームなどどのシーンをとってもバキバキに決まった画ばかりで思わず見惚れてしまう。更に本作の注目すべき点は鳴り響く音楽。ハンス・ジマーが手がけた重低音は映画に完璧なまでにマッチして観客の心理を揺さぶる。これを劇場で観ないのは本当にもったいない。

 ドゥニ・ヴィルヌーブ監督の過去作を観賞していれば本作は素晴らしい映画体験になると思うが、彼の映画を観たことがない方が【SF超大作】を想像して観ると肩透かしを食らうかもしれない。

 日本では失敗とも言える成績だが、世界的には興業的にも批評的にも大成功となったことで晴れてPart2の公開が正式決定した。完結となる次作では再び映画の魔法を見せてくれるに違いない。
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