「観る人それぞれが映画に何を期待しているか」を明確にするリトマス試験紙のような作品。
「すごい映像や世界観が見られればガッツポーズ」という方には激オススメだし、
「脚本が大事」という方には全くオススメできない。
自分は後者。
終始ノロノロダラダラと進み、かつその遅さに必然性を感じられずひたすら退屈。長すぎる。
というのが正直な所感。
「せっかく美術も衣装もガジェットも建物も凝ったし、じっくりゆっくり見せちゃろ〜」
と色気を出してる印象がある。
ファインアートに振り切るのでない以上、エンタメ作品の映像美は魅力的な脚本や編集ありき。(個人的にはね)
見映えのケレン味で無理やり押し切ろうとする今作のような映画は全く好きになれない。
逆を言えば、脚本さえ良ければ「入念に作り込まれオリジナリティにも富んだ素晴らしいデザインと映像だ!」と絶賛してたと思う。
ハンス・ジマーのスコアは手放しに良かった。
※今作に対して、「遅さ」「重厚さ」が物語を演出する要素として巧みに機能している映画といえば、
主人公の徒労に焦点を当てたデヴィッド・フィンチャー『ゾディアック』、
あるいは複雑に入り組んだ策謀にフォーカスした『裏切りのサーカス』などが印象深い。