ミツヤヌス

ビルド NEW WORLD 仮面ライダーグリスのミツヤヌスのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

 いきなり「ドルオタ、推しと付き合うってよ」から!?と驚いた。オマケとばかり思っていたからだ。なんのことはない、ドルオタ〜は本編と無関係なスピンオフでなく、地続きなストーリーだった。そのドルオタ〜で本編をサンドイッチした構造により、終わってみれば、本作は「仮面ライダーグリス+ドルオタ〜」ではなくむしろ「ドルオタ、推しと付き合うってよ(仮面ライダーグリス)」だった。
 正直色んな部分が荒削りな作品だったと思う。コメディ部分を作品の核(=どうしてグリスたちだけ変身できるのか)に直接結びつけるのは、ちょっと好みではないし、個人的嗜好はさておいても、問題は残る。基本的には別人のはずのB世界(とA世界の融合からなるC世界)の人物なんだから、顔の傷は残らないんじゃないか、とか、なんでハザードで暴走しないのか、あれこれ鑑賞者側で理由をつけないとつじつまが合わせられないのは、鑑賞する上でのノイズになると思う。
 あとは、敵の目的が日本、ひいては世界征服だと言う割に支配する気がなさすぎる。最終的には戦争を引き起こすことが目的だと言っていたけど、そうなら支配とか言わなくて良かったと思うし、もっとやりようがあるだろ...とも、感じた。
 では、果たして楽しめなかったのか。全くそんなことはない。とても楽しめた作品だった。徹底して正義の味方であることを描き続けた作品の魅力は本作でも健在だったし、クローズ同様、バトルシーンは非常に格好良い。フルボトルを駆使した戦いこそ見られなかったものの、三羽ガラスの連携や、とりわけメタルビルドの必殺技の演出はいずれも目を惹いた。前作にはなかった、登場ライダー揃い踏みもきちんとやってくれて、最後の一連の戦いは、手に汗握るものだった。プライムローグまでいたのに、クローズはマグマ止まりだったのが若干残念だけど…。
 果たして二組もカップルを誕生させる必要はあったのか、という疑問も湧くけど、全体としては熱く、楽しめた作品だった。