甲冑

シノニムズの甲冑のレビュー・感想・評価

シノニムズ(2019年製作の映画)
3.5
地球に落ちてきたボウイではないが、イスラエルからパリに来た宇宙人のような男は全裸で割礼チンポを晒し過去と故郷を消す通過儀礼のように現れる。そして言葉を覚え、仕事を見つけ、結婚・帰化し新しいアイデンティティを得ようとする。その困難さの話。抽象的な表現が多いのと中東民族の気質(ヨルダン側に生まれるとどう変わる等)が分かっていなく理解が難しかった。しかし後からなぜ男はあの時ああいう行動を取ったのかは引き摺る。明言はないが、兵役経験や何やかんや気になる親父やシオニスト同僚、ポルノ動画仕事の事、仏国の自由・平等・博愛精神と現実、そういうものがトリガーになって演奏会で爆発しちゃったのかなと。あとこれも真意は分からんがラ・マルセイエーズ(ド革命国歌)をやたら意気揚々と歌うあたり、仏国への突き付けや戦闘的な民族性も感じた。祖国のアイデンティティを消すとはどういう事か、そして他者から見た仏国はどういうものなのか、普段考えない視点の勉強にはなるが、軸の定まらない話と行動原理の掴みづらさ、やや実験的な撮影・編集は好みは別れそう。個人的には良かったけど、昨日『リベルテ』で散々チンポを見せられた後の過剰チンポ露出(ご立派だが)がしんどかった。
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