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シノニムズのumのレビュー・感想・評価

シノニムズ(2019年製作の映画)
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裸の男が、ブルジョワに服を着せられるところから物語が始まるというあたり、『素晴らしき放浪者』を思い浮かべた。服を着せられるところから、ルノワールのテーマである「演劇」に非演劇人、演劇に対して無知であり、それを最終的にはねのけるミッシェル・シモンが入っていくわけだけど、『シノニムズ』の場合、主人公はすでに「演劇」を知っているし、求めている、というところがルノワールとの分かれ道。一つの「演劇」に絶望し、締め出され、別の「演劇」を求めて主人公はイスラエルからフランスにやってくる。けれどそれが別モノではなく同じモノでしかなかったことを最終的に知り、また舞台から下されてしまう。この映画の場合「演劇」とは衣装(肉体も含めた)であり、国家であり、運動であり、物語であり、言語であり、etc、主人公を締め出し続けるすべてである。
 そういったことから、トークで言及されていたシノニムズ=似て非なるモノ、ということ同時にシノニムズ=違うようで同じモノという翻訳もできるかもしれない。
 
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