日下勉

システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたいの日下勉のレビュー・感想・評価

4.5
なんか凄い映画を観た。
主人公は9歳の女の子なんだけど、この子の破壊力が凄まじい。過去のトラウマにより自分の怒りの感情がコントロール出来ないのだけど、その暴虐とも言える暴れっぷりは凄い。なぐる蹴る、唾を吐き汚い言葉で罵る、施設を飛び出して店で見つけたバックを万引きして逃走。また気に入らないことがあったりすると放尿する。これぞシステムクラッシャー、実際に身近にいたら本当に相手をする人は疲弊するだろうなと思う。でも彼女がなぜこんなに暴れるのか、ただひとつ母親の愛が欲しいだけ。
そして彼女の矯正のために森で共に過ごした非暴力トレーナー と心を通わせ打ち解けて行くシーンは良いのだが、逆に距離が近すぎてしまったが故に彼をも傷つけてしまう。
また、自らの意のままに振る舞う彼女を見ていると、逆に私たちの社会がいかに目に見えない格子に囲まれているかにも気づかされるようだ。
ただこんなシステムクラッシャーの彼女は、たぶんこれから閉鎖病棟が待っているだけだろうなとも思う。
暴れたあと拘束され鎮静剤を打たれて虚ろな眼をしているシーンが一番怖かった。
日下勉

日下勉