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屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカのnannのレビュー・感想・評価

2.0
試写会で鑑賞。

二度と観たくない!
久しぶりにこんなに気持ちの悪い映画を観た気がする。

ファティ・アキンが脚本・監督を手掛けた本作は、1970年代ドイツに実在した連続殺人鬼の物語。

主人公フリッツ・ホンカは鼻が大きくなんと形容したらいいのかわからないが醜い容姿の持ち主。それを演じたヨナス・ダスラーは特殊メイクで見事におぞましい殺人鬼に変身した。

冒頭からゾッとするようなシーンで始まり、嫌な気持ちで観続けた。観続けられた。気持ちのいいものではなく、ただただ眉間に皺を寄せて観ていたような気がする。
そして中盤、転換点ともなるあるシーンを迎える。その時、もう今までみたいなの、観なくて済むのかな? と一瞬思うも……。
どうもこのフリッツ・ホンカという男は、アルコールによって恐ろしい人格になってしまう人間なのか?
それにしても、この映画に出てくる人たち、酒を飲む飲む。なんでそこまで飲むんだ、と思ってしまうほどだが、その時代、“収容所”の歴史などとも関係があるのかもしれないと思った。飲まないとやってらんない、というか……。

フリッツ・ホンカの犯行が外に漏れだす最初のシーン。階下に住む家族の元にあるものが降ってくる、というのがいろいろ想像してしまって気持ち悪い。

この映画、音が強烈だ。映画自体もかなり強烈なのだが、音をしっかりと作っていて、それがスリラーやホラーを上手く演出していると感じた。
あんなにいつも屋根裏の部屋で音をたてていて、よく苦情とか来ないな……

屋根裏。今や世間は半地下の部屋に夢中だが、屋根裏もまた同じような意味合いがある? などと考えてしまった。世間から見捨てられた人たち。目につく平和に暮らしている人たちの隅っこの方に生きている人たち。
それはそうと、階下に住む家族の元にあるものが降ってくるというのと、火事は関係があるのか?

最後はきちんと気持ちいい! とは言えないけれど、カタルシスを薄らとは感じられ、明るい音楽のエンディングに実際の殺人鬼と被害者たちの写真が映され、何とも言い難い気持ちにさせられる。とにかく強烈な映画だった。
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