とらキチ

ペトルーニャに祝福をのとらキチのレビュー・感想・評価

ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)
4.0
北マケドニア。世界地図で場所を指そうとしてもすぐにはわからない、そんな国のお話。それなのに「えっ⁈コレ日本の話しですよね⁈」って言いたくなるような既視感あふれる作品。
この手の作品の劇伴だと、不協和音を使ったストリングスをイメージするけど、いきなりハイピッチのバリバリのロックの爆音でビビッた💦ホントに最初のところだけなんですけど。
北マケドニアの田舎町で暮らす、32歳・大卒・独身のペトルーニャは、女人禁制の祭りで、男だけが受け取れるはずの“幸運の十字架”を偶然手に入れてしまう。
このワンシチュエーション、他愛のない話を国情や因習、性差別の問題にまで高めて描かれる。
キリスト教でも東方正教会なのでカトリックとは違った素朴感、神秘性を感じさせられる。
北マケドニアは旧ユーゴの構成国だったので、やっぱり兵役に行って、実際にドンパチしているだろうし、男達のゴツさが半端ない。だからか、祭りに参加する男達のヤカラ感がかなり強烈。しかも言ってる事がメチャクチャ。とてもコイツらが神に救われるとは思えない。
ペトルーニャ役の役者さんが特に素晴らしかった!ワガママ豊満ボディに鋭い目力はキャシー・ベイツを思わせるほどの存在感があった。蹴りを入れちゃう等、過干渉な母親との関係性も拗れに拗れている。終盤“神も女性だったかもしれないじゃないか”なんていう、アイロニーとユーモアに溢れた意見からペトルーニャの心境に動きが見え始め、彼女の最後のある行動とともに司祭にセリフを言った時の清々しい表情がとても良かった。
原題を直訳すると「神は存在する、その名はペトルーニャ」ストーリー的にも、その通りの展開で、もちろんイイんですが、邦題の「ペトルーニャに祝福を」が本当に素敵で素晴らしい。邦題が素晴らしいなんて思ったのは久しぶり(笑)
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