まくないと

ペトルーニャに祝福をのまくないとのネタバレレビュー・内容・結末

ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

一つの十字架を巡る騒動。

地方都市の重要かつ、大きな娯楽でもある宗教行事に、女人禁制であるにも関わらず、32歳無職彼氏無しの主人公が参加してしまったことで街は揺れる。

腹いせのように発作的に参加した女、楽しみで意気込んでいた若者達、神父、巻き込まれたような警察、名を上げたいリポーター。

十字架は、その立場や事情によって違ったものへと変わる。
全く同じものが違って見えるのは、”正義”と同じ。

あるものはそれを正義と言い、別の者は犯罪や不道徳と言う。
宗教的には伝統であり規則である女人禁制は、教会や若者達には正義だが、リポーターは女性蔑視であり守旧的だと言い、正義では無い。

本作の地方都市の特殊な話も、世界中に普遍的にあるこういった構図と同じ。
違う物差しを持つ者達が、いくら測り直しても同じ長さになどならない。

もう必要ではなくなった女は最後に十字架を返す。
欲しいものが得られたようだ。
とすれば、彼女が十字架を見立てていたものは彼氏…では無く、親切な警官が、「僕にも君の勇気があれば…」と言ったように、自分の価値を認めて貰うことだったのだろう。