みどりです

Cuadecuc, vampir(原題)のみどりですのレビュー・感想・評価

Cuadecuc, vampir(原題)(1971年製作の映画)
4.4
2021/01/23追記)『8 1/2』の素晴らしさがわかった気がする。

良いもん見たぜ
カッコ良い

ジェス・フランコ監督『吸血のデアボリカ』の制作中に撮影された実験的なドキュメンタリー。
『吸血のデアボリカ』より評価が高いのが面白い。一度の撮影で二度楽しめる的な。ドキュメンタリーと言うより、同じ素材を使った(むしろ撮影の裏側を撮影している点でこちらの方が材料豊か)違う解釈のドイツ表現主義的な映画というのが正しい気がする。

フィクションとドキュメンタリーのぼやけた境界線。もっと知られても良いはず。

https://www.nytimes.com/2017/12/22/movies/elusive-vampire-film-steps-out-of-the-shadows.html
“According to the DVD notes by Stanley Schtinter, the word “cua de cuc” is Catalan for “worm’s tail” and also refers to the bit of unexposed film stock at the end of a roll.”

ドイツ表現主義とは?

https://www.artpedia.asia/expressionism/
「表現主義とは、一般的に20世紀初頭に起こったドイツの表現主義のことを指す。その特徴は、内面的、感情的、精神的なものなど「目に見えない」ものを主観的に強調する様式である。」

https://www.dokkyo.ac.jp/of/library/pdf/c.pdf
「20 世紀初頭(狭義では、第一次世界大戦を挟んで 1905 年から 1925 年ごろまで)に、ドイツを 中心に起こった反自然主義・反印象主義傾向を持つ芸術運動の総称。外的印象の「再現」をめざ した印象主義に対し、表現主義は内面的なもの、主観的なものの「表現」を重視した。」
「その無定形なラディカリズムや、精神や観念の過剰ゆえに多くの批判にさらされ、1920 年前後 には早くも衰退し始めるが、近代の物質主義や自然科学的な因果律の支配に疑義を呈し、従来の 美術的価値観に揺さぶりをかけた意義は大きく、現代芸術の先駆的な役割を果たしている。」

http://angeleyes.dee.cc/german_expressionism/german_expressionism.html
このサイトが一番分かりやすかった!世界史の中で説明している。
「こうした、暗くて怪奇趣味の強い映像の中に、当時の混沌とした社会の空気や人々の抱く不安と恐怖を描き出していったのが、ドイツ表現主義映画だった。それゆえに、題材としては超自然的なホラーやサスペンスフルな心理ドラマが好まれる傾向が強かったと言えるだろう。特に、ドイツでは文学や絵画における神秘主義や浪漫主義の伝統が根強いこともあり、おのずと怪奇幻想的な世界と結びついていったのも無理はないだろう。
 それが「カリガリ博士」('19)であり、「吸血鬼ノスフェラトゥ」('21)であり、「巨人ゴーレム」('20)であった。いずれも、ヨーロッパの恐怖伝説や人間の狂気を強烈なビジュアルで描いていく作品。前衛芸術だ、モダニズムだ、などと言うと、難解で理屈っぽいような映画を想像しがちになるが、ドイツ表現主義映画の意外なところは、その分りやすい面白さにある。」