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アンダー・ユア・ベッドのKのレビュー・感想・評価

アンダー・ユア・ベッド(2019年製作の映画)
3.4
原作未読。R18。小石の下の虫たち。名前を覚えてくれていた人。その一言の威力。マンダリン。グッピー。徐々に詰められる距離。大胆になっていく行動。花。メッセージカードを書く際のペンの擦れる音が耳にこそばゆい。個人的には、ショッキングな場面を直接的に見せないでくれた方がありがたかった。音だけの情報の方が、より想像力を掻き立てられて怖かったのではないかとも思う。彼だってほとんど音しか聞いていない。見せないことでレイティングを下げることに成功し、もっと多くの人に観てもらえたかもしれないと思うと惜しい。高良健吾さんのエキゾチックとも言える雰囲気がこの役によく合っていた。西川可奈子さんの過去と現在の演じ分けが素晴らしい。心配になるほどの体当たり演技。陰キャ設定にしてはずいぶん手慣れている。のちに判明する現実。細かな疑問が解消されると同時に、こちらまで追い詰められる感覚。さらなる孤独。認識されて初めて人は存在できるという理屈。分からないでもない。自分だって透明人間にはなりたくない。そして訪れるラスト。ある意味ラブストーリー。彼の名はその後さまざまな形で刻まれるだろう。割と憎めないキャラクターだった。救いと苦味。
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