MSTshozi

サイダーのように言葉が湧き上がるのMSTshoziのレビュー・感想・評価

4.5
レーベルの設立記念作品ということで音楽な作品を、とはならずその本質的なところに触ろうとするような試み。

背景は鈴木英人然とした淡くもビビットで、そこに俳句がタギングされている。
序盤のその非現実な現実背景カットの数々だけで、ああ、アニメ映画が観れるんだな、という期待感が溢れる。
そんな鮮やかさがあるから、勝手にネガティブに思っていた、田舎の田園風景に聳え立つイオンキングダムにポジティブさが見える。

音楽、歌というのは、時に言葉にできないものを表したりするものな訳だけど、それが主人公達にとっては俳句であり、ライブ配信なわけで、それはその場所とか、記憶とか、その時の自分とか、周りの人とかと結びついていたりする。
こう言った本質的な部分を、音楽という枠に収めずに語りかけてくる上で、パッケージングとしては先ほど述べた背景、大貫妙子、never young beach、牛尾 憲輔という、ミュージック要素で綴じ込んでいる。
そしてその有り様がまさに、フジヤマさんのレコードに象徴されている。音楽が刻み込まれたそれは、愛しい人、思い出、地元、様々なものが圧縮されて形作られている。

こう言った中で、繰り広げられる主人公たちの素直で不器用な恋物語。
異なるものを掛け合わせることによる快感、そのある種の地味さ、故の心地よさ。

クライマックス、エモーショナルの爆発!
最高だぜー
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