odyss

転がるビー玉のodyssのレビュー・感想・評価

転がるビー玉(2019年製作の映画)
2.5
【青春の一コマ?】

渋谷のマンションに若い女の子三人がルームシェアして暮らしている。
いくらルームシェアとはいえ渋谷の駅近くだから家賃はかなり高そうだけど、解体寸前の建物なので安く抑えられていて、だから住めます、という設定。
しかしそれはあくまで期限付きの居住地である、という意味でもある。

三人は何者でもない。
モデルを目指して、少しだけその方面の仕事もしているけれど、それだけの存在である愛(吉川愛)。
雑誌編集(なのかな?)をやっているらしいが、仕事で大ミスをしでかす瑞穂(萩原みのり)。
街頭で歌うだけのミュージュシャンである恵梨香(今泉佑唯)。

今どきの若い女の子を、女の子の視点で描いていて、私のようなシニア料金鑑賞者にも、いわば私小説的な感覚でまあまあ楽しめる映画にはなっている。

だけど、それだけなんだね。
三人のこれまでの経歴や家族関係はほとんど分からない。
ただ、恵梨香が宅配便を受け取るシーンがあり、箱にはインスタント食品と一緒に多額の現金が入れられている。実家からの送金なんだろうか? いくら田舎の実家だからって、今どきなら娘への送金は銀行口座を利用(ゆうちょ銀行ならどんな田舎にも支店はある)するのが普通だろうけど、現金じゃないと映画にならないのかな(笑)?
送られてくるのが野菜やなんかなら実家は田舎の農家なのかと思うけど、インスタント食品ってことは田舎ながらサラリーマンの家庭なんですかね? まあ、今どきは地方都市だって農家は少ないご時世ですからね。

彼女たちはビー玉のように、一時的に同じ容器に詰められているけれど、やがて散乱して行方不明になる、のだろうか?
この映画の最後のシーンに暗示されているように。

最後でスイカ割りをするところが良かったかな。
他愛ないことのほうが、むしろ記憶に残るのだよね。
odyss

odyss