Shounosuke

スキャンダルのShounosukeのネタバレレビュー・内容・結末

スキャンダル(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

胸糞セクハラノンフィクション映画。

戦う女性のカッコいい姿も見どころだけれど、闘わざるおえない状況が実はおかしなことなんだと気付かされる映画。

ケーブルテレビFOXのCEOロジャー・エイルズからのセクハラ行為を訴えるため、女たちが立ち上がる。

シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーの3人がセクハラを受けつつ上手くいなす者、セクハラを拒絶した者、ガッツリとセクハラ被害を受ける者。それぞれ異なるがそれぞれ女としての立場に葛藤する姿を3人を巧みに演じていた。そしてどの立場の者でも傷ついているのは同じでみな被害者であるということ。

この作品を見る前のイメージでは、女性たちが一致団結してセクハラを訴えるのかと思っていたが、この映画では、主要キャストの3人が顔を並べるのはエレベーターの中だけ。

これが、現代にある"男女平等"に仕事ができる制度があるのにもかかわらず、実際にはそれを"させない"空気なのではないかと感じた。権力を持ったものによる物理的精神的圧力。家族を養うためにしごとを失うわけにはいかない者、働けなくなれば就労ビザがなくなってしまう者、体を売ったことで成功を得たという悪いイメージを生みたくない女性たち。そういった者たちが"言わせない"空気を作り出して、あたかも被害者が名乗り出ることが悪であるかのような状況になる。これは現代社会においても、セクハラに限らずパワハラなどいろんな職種にあり得ることなのではないかと思う。

そして一番胸糞が悪いのが、FOXが被害者女性たちに支払った額が5000万円なのに対し、セクハラ加害者であるロジャー・エイルズとビル・オライリーが受け取った退職金が6500万円と被害者女性たちよりも高額だという点。

But not the last.
そしてそれは続く

最後に出てきたこのフレーズは、被害者である女性たちが自らのキャリアに傷をつけてまで、トップを引き摺り下ろしたが、結局はトップが入れ替わっただけでなんにも革命は起こらなかった。という事なのではないかと思ったと同時にこの映画(実際に起きた話なのでこの場合は現実のfox)の胸糞悪さが際立った。

作中に出てくるケイラ(マーゴット・ロビー)は実際にはいない架空のキャラクターなのだが、権力に抗えず傷つく女性像は多くの人間に当てはまるもので、強い女性としてのシャーリーズとニコールとは異なる立場を描いたのではないかと思った。
Shounosuke

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