BOB

ブルータル・ジャスティスのBOBのレビュー・感想・評価

ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)
4.0
メル・ギブソン主演のクライム・スリラー・アクション。

強引な逮捕により6週間の無給停職処分となった警官が、金に苦心し、犯罪者から金を強奪するという計画を相棒と実行する。

"Anchovies!"

初S・クレイグ・ザラー監督作品。

思いがけず好みの作品に出会った!スローペースで淡々と進んでいく2時間半の長尺作品だが、全く退屈することなく、映画の世界に没頭できた。リアルさとバカさの塩梅が良い。

デヴィット・リンチ監督作品のような独特な犯罪映画であり、ジャンル分けしづらい。銀行強盗映画であり、バディ警察映画であり、社会派ドラマでもあった。映画的技巧、編集がほとんど使われていないのが特徴ノ1つ。

ストーリーとしては、命より金を優先した男たちが、次々にコンクリートの上を引きずられるという最期を遂げていく話。登場人物たちの背景がバラバラに語られるので、彼らが一つのストーリーに収束していく気持ちよさもあった。

ファンク&ソウルな音楽(ブラックエクスプロイテーション映画っぽい)が生み出すダウンビートな雰囲気は心地良く、リアル路線のガンアクション(マイケル・マンっぽい)にはキレがあった。銀行強盗シークエンスやクライマックスの銃撃戦シークエンスは勿論、追跡シークエンスといったなんてことの無い会話中にも緊張感があって、弛れなかった。

メル・ギブソンとヴィンス・ボーンが演じる年の差警察コンビは、警察官としてグレーゾーンに足を踏み入れていくのに、好きになれるキャラだった。特に、メル・ギブソンがハマり役。実績はあるが、社内政治と時代の変化に対応できず、出世街道から外れてしまったベテラン刑事というのは、『リーサル・ウェポン』のリッグス刑事の末路を見ているようだった。二人のブラックでオフビートな会話にはユーモアセンスがあり、何度もクスりと笑わされた。

音が良い。射撃音、ショットガンのリロード音、チキンクリスプやサンドウイッチのフレッシュな野菜の咀嚼音etc。

社会描写。逮捕時の暴行を市民に撮影されて停職処分。玄関で靴を脱ぐアメリカ人。男か女かが曖昧になり、男が"わたしたちは妊娠した"と言い出す時代。

グロ描写。人体解剖して腸から鍵を取り出す。

"Is that a guy or a girl singin' that song?
Can't tell."
"Not that there's much of a difference these days."
"I think that line was obliterated the day men started saying we're pregnant when their wives were."

"I'm not racist. Every Martin Luther King Day, I order a cup of dark roast."

"Nigga." "Likewise."

249
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