jam

浅田家!のjamのレビュー・感想・評価

浅田家!(2020年製作の映画)
4.3
一枚の写真
角もボロボロで少し色褪せたそれは
どこの海岸だろうか?
浜で砂遊びをする3人の姿

ピンクの水玉のビキニじゃなければ
男の子と間違えられそうな真っ黒の子
ようやくお座りできるようになった
金太郎みたいな前掛けの幼子
二人を包むように半ば背中を向けて座る
紺色の海パンの男性

それは
私が唯一手元に残している家族写真
おそらく、家族が一番しあわせだったときを留めているから


失ったものを補えるのは記憶だけ
その記憶を確かなものにするのが写真

浅田さんが父から受け継いだ写真は
今も昔も
様々な家族の記憶を写し出す


写真学校の卒業のための課題

もし一生にあと一枚しかシャッターを切れないとしたら、何を撮る?
そのたった一枚の写真…それは家族の肖像

エンドロールに現れた本物の浅田家が
一丸となって愉しみながら撮り続けてきた
いろんな"浅田家"

優しい父、肝の座った母、家族想いの兄
それぞれが政志さんを愛しみ
繋がり続けて

その想いを受け止めた政志さんが
新たに出逢うたくさんの家族たち
その家族それぞれにそっと抱えている
大切な宝物の記憶

その記憶を一枚に


私の一枚に
母の姿はない
まだ病でこの世を去る前の時期のはず…

その謎も
この映画を観て想像することが出来た

この眩い一枚の記憶を
写し撮ったのは おそらくは母

優しい記憶に感謝
jam

jam