キイロ

ラストナイト・イン・ソーホーのキイロのレビュー・感想・評価

-
エドガー・ライト恐るべしというべき完成度。
「あー俺は『映画』をみている!」という感覚を感じまくる映画だからこその極上体験。
音楽や衣装、カメラワーク、映像の色彩といった技巧的な部分から、脚本やテーマ性、ホラー展開にいたるまで、すべてが一本の「映画」というエンターテインメントとして体に染み込んでくる感じ。
落ち着いたレイトショーでみて正解。

ただ、あまりに隙がなさすぎて、大きな興奮を覚えない人もいるのでは、とも。
あとは後半の展開が気になる人もいるだろう・・・

以下ネタバレ含む






















まず、この映画を見たあと
主演のトーマシンマッケンジーとアニャテイラージョイの二人について、美しいとか可愛いという感想はもちろんそうなのだが、それを無邪気に述べることの危うさというか、作品で描かれる男性性の加害性に胸が苦しくなるし、気軽に言えないよなと。
自分の胸に手を当てて考えたい。

最後の幻影となって現れる男たち。自らの行いの結果であるのに、亡霊になっても結局助けて、彼女を殺せ、とのたまうあたり、徹底している。終盤であれはかなりきつい。

そういうテーマは貫きながら、
序盤は夢見る一人の人間の成長をストレートに描き、徐々に幻影に蝕まれていくエロイーズ。二人の女性の過去と未来を行き来していく演出・映像は本当に素晴らしく、ぐるっとまわるカメラワークも独特で楽しい。
自分がおかしくなっていく中で答えを少しずつ探るミステリーも魅力的。

序盤のエロイーズ周辺の設定が物語のところどころで生かされるのも、個人的には自然にに感じたしよかった。

ホラー要素も普通にめっちゃ怖い。
あまり詳しくはないが、きれいな女性が殺されるジャーロ?ジャッロ?の様式美を反転させた物語の巧みさも感心した。

あのおじさんが警察なのはすぐわかったけど、ばあさんのオチはさすがにすべては読めなかったなぁ〜

なにはともあれ今年見た映画で、ベストにはならないかもしれないがら、確実にずっと記憶に残る映画だ。
キイロ

キイロ