cinemaで逃避

ラストナイト・イン・ソーホーのcinemaで逃避のレビュー・感想・評価

4.0
昨年のアカデミー作品賞
パラサイトもしかり
昨今流行り気味の
ジャンルを括れない横断映画

ミュージカル的始まりから
若者の青春物語へ進み、そこから
SF、サスペンス、ホラー、スリラーと
怒涛の展開が進んでいく

それを支える背骨として
性格差、性搾取というテーマが
あるおかげで突飛には見えないけど
ただメッセージ性はあんまり
重しとしての役割ぐらいですかね
かつて苦しんだ人が居るから
忘れないように程度で留まります

作品の構成としては
エドガーライトらしい
テンポの良い編集が小気味よく
予想の斜め上をいく
ラストシークエンスまで
映像、音響を駆使しながら
刺激を与え続けてくれます

ただそうした興奮から
離れて冷静に見てみると
人物や人間関係に関しては
薄いというかハリボテ

サンディことアレクサンドラ
の情報もほとんど無く
仮に無名の女優だったなら
オオコケしててもおかしくない
他の人物も同様にガワだけだし
ジョカスタとの顛末も無し

そうした欠点を
キャストで補うのは上手い
アニャテイラージョイの
魅惑的な存在感は圧倒的で
テレンススタンプ、ダイアナリグと
60年代に活躍した俳優を
はめ込んでくるのは流石

なんかフワッとした所もあるけど
細部のこだわりとエンタメ性で
魅力してくれるバランス作でした