エマ

ラストナイト・イン・ソーホーのエマのレビュー・感想・評価

4.3
最 & 高。
曲、キャスト、年代背景、ストーリー全てが好みだった。

〈少しネタバレ含みます〉
強調的に描かれる反フェミニズム的な男性性と、現代にも残る「形を変えた反フェミニズム」が巻き戻し的に再現されるのは、未熟な男性性が現代では少しばかりマシになっているように錯覚してしまうが、そういうことでは無い。
現にサンディは現代にも生きていて、亡霊のようにロンドンをさまよっていた。そんなサンディが最後に自殺を選ぶのは、現代にも未熟な男性性が残り、その犠牲となっている女性がいることの象徴である。
また、本作品では「男ってクソ!死ぬ!」という過激なフェミニズム作品に陥らない工夫がされている。例えば、「女性が女性の敵」である部分や、「救いのある男性」の存在が確認できること、そして最終的に殺されているのは「男性である」ことである。これによって、ただ「男性=悪」の式を作るのではなく、あくまでもその意識的構造こそが取り除くべきものであることを示している。
その手の作品だとは思ってなかったので少し意外。とても素晴らしい作品だった。
エマ

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