平田一

モービウスの平田一のレビュー・感想・評価

モービウス(2022年製作の映画)
2.5
“世界よ、オレの血となれ”

マーベルの人気コミック「スパイダーマン」の宿敵・モービウスが主人公のスーパーヒーロー映画。天才的な頭脳を持つ医師マイケル・モービウスが施した処置の変異で異形の存在と化していく。監督は『ライフ』を手掛けたダニエル・エスピノーザ。『スーサイド・スクワッド』でDC映画に参戦済みのオスカー俳優ジャレッド・レトがマイケル・モービウスを演じる。

生まれつき不治の病に苦しむマイケル・モービウスは、コウモリの血清を駆使した治療に試みる。ところがその副作用で激しい吸血衝動と常人を遥かに超えた運動能力に目覚め―――。

なかなかそそる予告編になっていたのは確かですし、ユニバースの大きな起点になると言われて楽しみでした。残念ながらスクリーンじゃなくて配信鑑賞ですが、色々と大問題だらけの映画でしたね。

まずこの映画自体、もう非常に退屈です。あれだけド派手なヴィジュアルだとかワクワクしたもの詰まってたのに、壊滅的にストーリーが機械的で無味無臭。しかも今後のユニバースありきで進行しすぎてて、単独の映画における最低限度さえ皆無。言うなれば物語があってないものすぎました。DCユニバース発足の頃でもここまで酷くはない。ここ数年一体何を学んだ?ってレベルです。

加えて映画は緊張感が9割半無さすぎる。体裁上はホラーだし、吸血鬼ものなんだから。ジャンプスケアが0.5割程度(あくまで私見)じゃ本気のミスでしょ? せめて予告に使った映像を存分に使おうよ。それあったら映画の見栄えが少しはマシになったよ……。

ユニバースのピースにしても予告のアレとかアレは無し。あんなにワクワクしそうな場面がありませんってマジっすか? というか書けば書くほどヤバさがどんどん出てくるな。

こんなん言いたくないけれど、マーベルの名前があれば客を呼べると考えすぎて、肝心の商品たる映画が杜撰なものだった。ここまで酷いと『エレクトラ』などがよぎって来るけれど、モービウスの能力紹介パートでギリギリ踏ん張った。それすらもヤバかったら、ソニーのマーベル詰みだな……。
平田一

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