ナイル殺人事件のAtC810のレビュー・感想・評価

前作オリエント急行殺人事件のエンディングに次の行き先として名探偵自身の口から予告されていたとおり、ピラミッドのあるカイロにいたポアロが、世界最長のナイル川を神殿のあるアブシンベルへと遡行するクルーズ船内で起きる密室殺人事件の謎を解く物語。ランドマークの圧倒的スケール感、建物や船内のゴージャスな造形が全体的に作品の格調を高めており、もちろんミステリーとしても期待通りの極上の映画に仕上がっていた。ポアロが事件解決後に向かった場所でオープニングに描かれた喪失感が埋められたなら名探偵自身の物語としてはハッピーエンドということだろうか。今はカイロから1000kmのスーダンとの国境付近に移築されているアブシンベル神殿もアスワンのほとりにあった当時を再現した考証にも拍手。