さすがにこれだけ古い作品を引っ張り出して、謎解きの質が低いみたいな茶々を入れるのは野暮だと思います。犯人およびトリックがかなり初期の段階で分かってしまうのは、ご愛敬でしょう。また伏線も緻密という感じではないので、その辺に期待すると肩透かしだと思います。
では本作を「愛」の物語として見るとどうでしょうか。こちらの方が筋がいい気がしますが、それでも物足りないですね。こちらの側面はもう少し大胆に現代風のアレンジを加えてもよかったのではないでしょうか。冒頭で第一次世界大戦の緊迫した感じを出し、聴衆を引き付けることには成功しているので、「愛」の典型的なパターンだけを示すのではなく、もう一段踏み込んだ「愛」の描き方があったらと思います。
ナイル川を中心とする風景はCGを上手く組み込んでいましたし、ボーイたちのサービング技術などはミュージカルテイストな軽さがありよかったです。全体的に面白いチャレンジだったとは思います。
