シャチ状球体

ナイル殺人事件のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)
3.0
アガサ・クリスティ原作の映画。

『地中海殺人事件』と比べると殺人事件が起こるまでのシーンも普通にシリアスで、婚約破棄やストーカー、上流階級同士の妬み嫉みといった推理小説であまり読みたくないドラマばかりが主軸となっている。

現代にリメイクするにあたってジャッキーみたいなキャラクターは立ち位置大幅に変えるべきで、全くアップデートされていないジェンダー観で結婚や公債、愛、浮気の話が何度も出てくるので色々と辛い。これが1980年くらいの映画だったらまだハードルを下げられたけど……。

主人公のポアロは何だか性格がマッチョになっており、普通に恫喝をしたり人の隠さざるをえないことをわざわざ暴いたり、支配的な中高年男性像の域を出てくれない。
犯人の正体も動機もミソジニーそのもので、そのうえ結婚が家と家の結びつきだった時代の保守的な空気を温存するような結末も待っている。
正直ポアロが関係するべきではないような内容だと思う。というか、逆にアポロを第三者に位置付けることで罪を犯した人が罰される様を強調しているのかもしれない。性格悪いね……。

ケネス・ブラナーの3部作はこれだけでもう充分かな……。
シャチ状球体

シャチ状球体