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シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢のmotchaのレビュー・感想・評価

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前半、主人公が建築に取りかかるまでが静かに語られる。
いろいろドラマもあるのにカメラは決して激さず淡々と主人公の表情を追う。
役者に叫ばせて演出したような気になっている監督ばかりの中で好印象だ。

しかし後半になるとわけが分からなくなる。
カメラはこの建造物に踏み込まない。
制作中の手元が写されることはあっても完成後の細部にはノータッチ。
さらには宮殿にカメラは一歩も入らない。
最後に建物の全貌が写し出されるけれどそれも遠くからの外観だけ。

そうか、この監督は上っ面だけをこぎれいに撫でることしかできないんだ。
役者に泣いたり叫んだりさせるよりは百倍ましだけど、建物にまつわる映画を撮るには好奇心と力量が足りなかった。
(200602レンタルDVD)
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