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いつくしみふかきのjamのレビュー・感想・評価

いつくしみふかき(2019年製作の映画)
3.9
家族にまつわる因縁は
家族の数だけあるだろう

ひとりで生まれてひとりで育つ
少なくともひとりで生まれることは出来ず
誰にでも父、母はいる

だからこそ
私たちは父や母、家族の話を
あらゆるかたちにして残そう、伝えようとする

週に何本もの映画を観る
ランダムに時間と場所の都合の良いもの
そのラインナップに家族の話が多いのは
それぞれの血の縁、祝福と呪いを
観てみよう、何かを感じようと思うから


歓迎されずに生まれる子ども
罪なのは父だろうか、それともひとときだけでもその男を受け入れた母だろうか

信じられないような悲喜劇のなか
生まれた進一 心を閉した彼が
たったひとつ、父との約束を拠り所に


慈しみ深き 友なるイエスは
罪咎憂いを 取り去りたもう

この賛美歌は毎朝、私の病棟に流れている
何年も何年も
聴くとはなしに
けれど そのほんとうの意味を
深く考えたことはなかった気がする


イエスの慈愛と救いの家、教会ではじまる
父と息子の奇妙な生活
悪魔と呼ばれた父は彼が息子だと知り
改心、かと思いきや

人を根源から変えることは
神の力をもっても不可能なのか?

何度も何度も裏切られ
それでもいつかは、と
その想いが進一を前に進ませる


アンコール上映だった終映後
舞台上ではなく客席と同じ位置から監督、主演の遠山さん、三浦浩一さんらが登場
観ていた私たちに感謝を伝えてくれた


ラストに向き合う親子の姿
罪 咎 憂いはどれほど取り去られたのだろうか
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