ぴいこ

いつくしみふかきのぴいこのネタバレレビュー・内容・結末

いつくしみふかき(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

タイトルはいつくしみふかきですが、いつくしみがふかいと思える人物はほぼ出てきません。
しかし、話が進むにつれ最後の方にはいつくしみをどこかに感じられるような気がします。
お互いの存在を知らずに30年間生きてきた父と息子。
しかし、30年間お互いに、父は自分には息子がいることを、息子は自分には父がいることを、心のどこかで感じて生きてきたのではないかと思えるシーンがあります。
父である広志は、あらゆる人を騙し、裏切り、暴力を振るってきました。
しかしなぜか進一には、息子とわかる前もわかった後も、暴力を振るうことはありません(モップでどつくくらいはありますが)。

落ちるとこまで落ちた父親と、自分は何も出来ないと思っているダメな息子。
二人は変わることができたのかまでは、この映画では描かれていません。
しかし、変わろうとし、変わりつつあるところまでは描かれています。
息子は最後まで知ることはなかったのだろうけど、父も本当は同じ勉強をしていた。

暴力シーンが多いですが、自分の弱さをどこかへぶつけるための暴力なのかもしれないと思いました。
何回も見ることで、自分の中に色々と汲み入れることができる映画だと思います。
全体を通して飯田市の風景がよく描かれており、また、遠山郷の伝統的神事が取り入れられているシーンは芸術性を感じました。
また、BGMの音のクオリティがかなり高いと感じました。
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