坂本くろみ

クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険の坂本くろみのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

初視聴年:2020年以前 再評価:2021
昔視聴して印象に強く残る作品といえばこれだったのだけど、今見てもその時の気持ちを思い起こさせる作品だった。
人の集まる所の楽しさとかその中ではぐれる孤独感とか、大人に自分の気持ちを上手く伝えられないもどかしさと怖さとか、一作目と違う方向性で童心をくすぐられるシーンが多かった。

それでいて前作までと同様に悪役から滲み出る"ガチ感"は凄まじくて、実際子供向けのラインを越してるのではないかと思うくらいには怖い。
それでも流石前作のようなものを作れただけあって、バランス感覚が非常にうまい。いざという時に味方をしてくれたのが大人ではなくて、子どもの妄想なのがグッと来たし、大人が味方をしてくれた時になればこれまでお供してくれたヒロインが退場したのは、しんのすけが思わず涙するのも分かるくらいに悲しかった。
それでいて大人が来てからは中々シビアだった雰囲気が一気にいつもの調子にマイルドになっていくのがかなりありがたい。ラストの怒涛のギャグもそういう雰囲気作りがものすごく上手いからスッと効いてくる。

そういう意味で危ういくらいに背伸びしたとも取れる子どもに本気の作劇を見せるというものの、成功例を見たような気がする。本当に素晴らしい出来のものは今見ても色褪せずに、成長に伴って違った視点でも面白さを見いだせるんだなあと感じる大作だった。