tsuyocinema

ミッドサマーのtsuyocinemaのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
-
【ミッドサマー/MIDSOMMAR】 (グッド/パッド)トリップの行き着く末はユートピアかディストピアか?

まぁ相変わらず不気味というか不穏な映画撮るなぁ…

ぱっと見は「こんな友達の実家の祭りは嫌だ!」ムービー金字塔(なんだそれ!?)!! そしてやはり監督は広義の意味での“家族”という呪いを描いており前作ヘレデタリーよりそのテーマを推し進め、明確化と拡大化させたような…まぁまたしても大傑作!! 感想とテーマについての言及以外でいうと大きく4点。

1点目は音。ヘレデタリーの頃より評判の音の使い方として、映画の中での自然音、劇伴、あらゆる歌や演奏が観客に“予期”を促し心をざわめかせるのは最早、名人芸!!この名人芸を味わうのと、細かな音に注意するためで観客が全員息を飲みんで音を出さないようにする緊張感を味わうためにも映画館で観た方がいいです。

2点目は映像効果。幻視感覚あふれる揺らぎの映像と異常に綺麗すぎるあらゆる色彩、脳みそ揺さぶられる視点のスムースな切り替わり、陳腐にいうとドラッグムービーだけど、それがまぁ効果的!!
スウェーデンのあの村に行く前ではダニーの視点の揺らぎと切り替わりだけだった視覚情報や効果がどんどん付加されるのも没入を促す!!
前作よりも予算が増えたおかげで、アリ・アスター監督にまた一つ武器なのか作家性が足された印象。

3点目は主要の俳優たちとモブなコミューンの住民。
主人公の不安神経症なダニーと別れる寸前だが“優しく”接するクリスチャン、クリスチャンの友人のマーク、ジョシュはいい意味で性格や嗜好性が分かるような描かれ方、演技をしておりすぐ人となりが分かる。一方コミューンの人たちは無個性な仮面的笑顔と真顔…まぁ怖い!!(特に見開いた目が恐怖!!) 4点目はあらゆる映画の中の舞台と舞台装飾。
スウェーデンのコミューンの草原、岩山などの自然、その中にある小屋や祭壇、内装やら小物に至るまでコミューンのカルト的ユートピア感の実在感がスゴイ!!
個人的にはそのコミューンがフジロックのフィールドオブヘブンを朝霧ジャムの会場規模に広げたようにしか見れなくなってツボでしかなかった!!
あとスウェーデン前でも主人公ダニーの部屋の作りと不穏な絵とかあるのも後になって考えると示唆的!! あと大好きなシーンとして盆踊りなダンスバトルやギャグ的夜這いにクライマックスの花塗れでのダニーと祭壇、熊の伏線回収、マークのiQOS吸いすぎ問題…早く色んなこと話したい!!
改めていうが、あらゆる要素が幻覚的な没入感に向かう本作は大傑作かと!!
tsuyocinema

tsuyocinema