おかだ

ミッドサマーのおかだのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

史上最悪のAV


どうしましょうかね、これ。

アリアスター監督ということで、前作のヘレディタリーは評判が凄く良く(悪く?)、観たいなーと思っている間に今作が公開となりまして。


冒頭から気持ちの悪いカメラワークとBGM、妙に生々しくいやらしく描く登場人物の関係性。

そしてこれまた気持ちの悪い逆転カメラワークから到着する祝祭会場は、BGMや虫の羽音などから死の予感がプンプンする反面で、とびきり華やかで芸術的とさえ言えるようなロケーション。

序盤のトリップ体験なんかは「クライマックス」
を想起させるような感じ。
トラウマです、ギャスパーノエ。


そして祝祭が始まってからの爽健美茶のコマーシャルみたいな雰囲気の中でのフラッシュモブ感のある儀式や、イッテQの宮川大輔的なダンス競技の果ての女王など、呑気に見ていたかったのだがそうもいかず。

あれよあれよとエロ&グロ&宗教、芸術の世界で転がされ続けて、何故か爽快感のあるラストカットで幕を閉じる。


果たしてこれは、初見でどこまで理解できる人がおるんやろうか。

圧倒的に美しい衣装や舞台セットの数々や、バークレーショットのような独特の鳥瞰カメラワークなど、とにかく不気味すぎる世界観。
自分はこの辺りの単に視覚的にキャッチできる範囲での楽しみ方でギブアップ。

あとは序盤のダニーの部屋にある、王冠を被った女の子とと熊の絵画がラストの伏線になっていたこと、それから中盤の性的な4コマ漫画の示唆する展開など、その辺りは何となく理解できたけどそこが限界。


そのほか細かいルーン文字や食卓の配置、スキンフールとネクロパンツの伏線、しきりに出てくる「9」という数字と北欧神話の繋がり、焼き殺されたと明言したペレの両親の顛末、そして表層的にバッドエンドなラストに感じる謎の爽快感の正体などなど、監督インタビューやネット解説観てやっと理解。

なるほど綿密な脚本によって象られた、家族と解放の物語でしたのか。初見で分からんよ。


それから何といっても数あるエログロ展開の中でもずば抜けて恐ろしかったのが中盤の性行為。
あれだけはほんまに勘弁、お婆も余計なフォローをしなや。


てなわけで、一見理解できなかったが実は相当に作り込まれた脚本と世界観と、それらを映像化し映画たらしめた美術セットとカメラワークを評価して、その上で自分の好き嫌いを混みでレビューすると、こんな感じ。

ここまでアクの強い内容ながら、綿密に計算して作られているために、実はそこまで不快じゃない(めちゃくちゃ不快やけど)という、実はただの悪趣味サイコ野郎ではないというか、やっぱり凄い人なのかアリアスター。

しかし間違っても友人や同僚に勧められる映画ではありませんでした。勘弁してください。
おかだ

おかだ