ぱたぱた

ミッドサマーのぱたぱたのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ずっと主人公の彼氏に理解されないというフラストレーションがまざまざと見せつけられて、それがああいうオチでスッキリさせられるという100%純度の「何でわたしの気持ちがわからないの!!! わからないやつ全員死ね!!!!」映画だった。
初っ端の電話からして、彼女は不安なのに彼氏は友達に早く別れろよ、とか言われてて、一方にとって重大なことが他方には重大に捉えられないというアンバランスな状態からスタートして、最終的にわたしの気持ち超わかってくれる家族の側でわたしの気持ちわからない彼氏殺す、に着地。
最初、彼女の家族が死んだ時彼氏に背中を撫でられながら号泣するんだけど、彼はどちらかといえばめんどくささと戸惑いがメインの感情で、共感とかはなく、パーティーいくとかいっている。0共感の状態。
そこで、共同体の外と中の橋渡しをする男の子は、僕も君と一緒で両親を亡くしたんだ、だから君のことはよくわかる、と繰り返し、君と「同じ」立場であることを強調。
共同体は、死んでもまた共同体の一員として生まれ変わるという思想のもと、個人が溶けて一体となっている考えなので、セックスするときもみんなで喘ぐし、悲しいときはみんなでむせび泣く。
彼氏のセックスの儀式見ちゃって、むせび泣くシーンは、家族の死でむせび泣いていた時に2人でいるのに孤独だった彼女が、共同体のみんなが共に悲しんでくれるという対比になっていて、みんな「同じ」で、わたしのことをわかってくれる場とわかるシーン。
最後に、その共同体でメイクイーンとなり、堂々のわたしのことをわかってくれない彼氏を、わたしが選んで殺してやる!ははは!のシーンとなり、失恋リベンジごころ満たされり……だった。

セックスしないと出られない部屋シーンの、手を差し伸べたら受け取って歌を歌い出したシーンのあたりから笑いを禁じ得なくなり、なはははって笑いそうになってたんだけど、みんなシーンとしていたので我慢しました。
(ダヴィンチコードに出てくる宗教思い出した)

あと、ダンスをしてトランス状態になるってやつ中東あたりの密教の儀式にあったな、と思った。世界史でやったやつ。重たいスカートを履いてぐるぐる回って踊ることでトランスして、神のお告げを聞く。わからないはずの言葉がわかるっていうトランスの表現めっちゃよかったな〜。
経典を紡ぐ障害者とかの設定も、ドストエフスキーの小説とかに出てくる神がかり行者みたいな、神に近く崇高なものとして受け入れるやつか、とおもいつつ。

そういう設定がもりもりだったけど、何はともあれ最後のシーンやりたかっただけだよね!! もーーむかつく!!という気持ち、スッキリさせたんだね…。ってなって、笑った。
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