福福吉吉

幸福路のチーの福福吉吉のレビュー・感想・評価

幸福路のチー(2017年製作の映画)
3.5
チーは台湾で生まれ育ち、現在はアメリカで暮らしているが、祖母の訃報により故郷に帰国する。チーは変わった故郷の景色に驚きながら、子供の頃の自分を思い出す。アメリカ人の主人との関係に悩むチーは子供の頃の友人たちに再会し、これからどうすべきか考える。

台湾の時代による変化を背景にチーという女性の過去から現在、そして未来について思いをはせる作品になっており、アニメーションならではの表現の自由さでチーの内面まで丁寧に描いており、観ていて彼女の心情が上手く伝わってきました。

チーの子供の頃のシーンはとても楽しく、他人に対するイメージがそのまま映像化していて、教師が悪魔のように見えたり、好きな人が王子様に見えたりと子供の世界を上手く描いていると思いました。また、チーの父母や祖母もとても個性的で観ていて楽しかったです。

チーの現在のシーンは自身の悩みが大きく、そのため常にチーは重いものを背負ったような雰囲気を醸し出していますが、小学校時代の旧友と出会い、それぞれの現在を知ることで自身が進みたい道を理解し、進もうとしていきます。この展開もとても良かった。

台湾の時代による変化を背景にしていますが、それがメインではなく、あくまでの1人の女性が悩みを抱えながら上を向いて進んでいく姿を描いた作品ですので、日本人の私たちにも共感する部分が多いと思います。

とても面白い作品でした。どの選択が正しいのかなんて誰にも分からないし、そのときの自分が必死に考えた選択であるなら、それで十分だと感じさせてくれました。

鑑賞日:2023年7月31日
鑑賞方法:U-NEXT
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