あんじょーら

ミッション:8ミニッツのあんじょーらのレビュー・感想・評価

ミッション:8ミニッツ(2011年製作の映画)
3.9
何気なく借りて見ましたが、なかなかシュールなSF作品でした。



ふと、気がつくととある電車の車内にいるスティーブンスは軍人であるのに、一般人のように扱われます。しかも見に覚えのない名前で呼ばれるのです。非常に混乱した中で列車はもうすぐシカゴに到着する、という瞬間に爆破されるのです。そこでスティーブンスの意識は飛び、ある施設の中で目覚めます、軍部の秘密裏の活動に参加していることが徐々に明らかになっていくのですが・・・というのが冒頭です。



ある意味ループものを扱ったSFサスペンスですし、設定が非常に細かくなかなか練られたものであって、かなり面白かったです。ちょっとしたキャラクターにもある程度時間を割いた肉付けがされており、少しステレオタイプ過ぎる悪役はいるものの、なかなかの人物劇としても見れます。



ループものとして意識した最初はタイムパラドックスものだったと思います。タイムパラドックスを起こすことで存在そのものが消えてしまう、というモチーフは枚挙にいとわないでしょう。最も有名な映画だと私の世代では「バック・トゥ・ザ・ヒューチャー」(もしくは「ターミネーター」)であり、もう少し前の世代なら「猿の惑星」(もしくは「戦国自衛隊」)であり、個人的に言えば「時をかける少女」だと思います。



ただ、この映画はタイムパラドックスをさらに進化させたつくりになっていて、いわゆるループものとしての完成度高いです。ループものと言って分かり易いのはおそらく「ジョジョの奇妙な冒険」荒木 飛呂彦著の第4部(最も気に入っています)の最後がループものを効果的に使っていると思いますし、この映画の構造と似ていると思います。噂ですと、まだ未見なんですが「魔法少女まどか マギカ」(タイトルだけなら絶対見ない作品だが、見た方の意見は皆大絶賛なので見ようかと思う)もループモノを扱った傑作らしいです。あ、あと「シュタインズ・ゲート」もそうだ、結構良かったけれど、終盤がなんともう~んだが、ループモノとしての完成度は高い。中村うさぎさんが面白がっていたので見ましたが、見てよかった。



いかにして結果を変えるのか?というもう一つのアプローチが、映画の出口をさらに1段深いところまで押し広げていて、その着地点も素晴らしいものでした。ここらへんにハリウッドの能天気さと脚本へのきちんとしたアプローチという相反するチカラを感じさせますし、それが良い結果を生んでいるとも思います。


タイムパラドックスものに興味のある方にオススメ致します。