半兵衛

決闘高田の馬場の半兵衛のレビュー・感想・評価

決闘高田の馬場(1952年製作の映画)
4.3
有名な堀部安兵衛による高田馬場による仇討物語を、マキノ正博監督がテンポよくスピーディーな語り口による演出で仕立て上げた傑作。ちなみに共同監督で稲垣浩監督の名前があるものの、彼はほとんど演出にタッチしていないらしい。

前半のマキノ節全開といえる主人公の阪妻と長屋の住人、口うるさい叔父とのやりとりから後半のシリアスな展開への緩急自在な演出も見事で、トラブルから決闘することになった叔父が阪妻に会おうとするも不在で、そこから伝言して一人で決闘に挑む叔父と何にも知らずに酔いしれて中々家に帰ろうとしない安兵衛によるじらしがサスペンスを生む。

そして叔父の危機を知った安兵衛が走って決闘場所へ向かう韋駄天走りの素晴らしさ。マキノによる走るショットを巧みに繋げた編集術も相まって本当に疾走しているような躍動感に溢れて気持ちが高ぶっていく。到着してからの敵十八人を斬るシーンも滅茶苦茶カッコいい。

そしてこの作品での阪妻の活劇的な走る姿は、後年の『モーレツ!嵐を呼ぶオトナ帝国の逆襲』のしんのすけや『最も危険な遊戯』の松田優作に引き継がれたと言える。
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