たく

淪落の人/みじめな人のたくのレビュー・感想・評価

淪落の人/みじめな人(2018年製作の映画)
3.7
下半身不随の老人を若い家政婦が世話するという「最強のふたり」を連想させるような話で、ラストがジーンと来た。

最初互いに言葉も通じずギスギスした関係がやがて変化していくのがアルアルで、ご主人様と家政婦の身分差は「あなたを名前で呼べたなら」を思わせたね。
エヴリンがフィリピン人仲間から「家政婦なんてバカなフリをしてればいい」ってアドバイスを受けるところに、外国人家政婦に対する差別という現実の厳しさが象徴されてた。

タイトルの「淪落人」(原題)は「惨めな人」って意味らしく、身体に障害を抱えて人生に絶望してるチョンウィンと、夫との婚姻解消問題と借金苦から夢を諦めてるエヴリンの二人を表してる。
やがてエブリンの夢がフォトグラファーだと判明するところから、夢を持たないチョンウィンが彼女を全力で応援していく後半が出来すぎな感じはしたけど、アンソニー・ウォンの温かみのある演技が心に沁みた。
互いに言葉を教え合い、会話の途中で二つの言語が目まぐるしく交代するのがコミュニケーションの深化を表してて、ラストシーンでエヴリンが覚えたある広東語が出てくるのには泣けた。

夏のバス停で始まった話が夏のバス停で終わる円環構造も上手いね。
たく

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