Itotty

フェアウェルのItottyのレビュー・感想・評価

フェアウェル(2019年製作の映画)
3.9
郷に入れば郷に従え、という言葉があります。
人間個人は集団や社会の一部なのだから、その土地の考え方に従わないとね。
でもそれが生死に関わる問題だったら。。。


本作でテーマとなる風習は、
生死に関わる重い病に直面した時、それを本人に伝えるか否か、でした。
この問題に対して、中国とアメリカの両方のルーツを持つビリーの視点を通して、二つの国の文化の違いを見ることができました。

病になった本人にとっては、知った上で闘うことも、知らされないで元気に生きることも、どちらも一理ある気がします。
でも、周りの家族は、本人に病状を伝えない場合、ずっとウソを背負い続ける重荷を背負い、いつまで経っても言ったほうがいいんじゃないか?という悩みが絶えません。それに、日常を装う=不自然に一緒に過ごすことができないので、大切な人との大事な時間をゆっくり過ごせないこともあるかと思いました。

言葉が違うのは承知の上で、、文化の違いって面白いなって思いました。
人生にたくさん存在する、答えがない問題に対して、手助けとなるのは宗教だったり風習だったり、個人の外にあるものですよね。
その上で、インターネットとか国際化が発展して、外の文化に触れやすくなった今は、前よりも悩むことがふえてしまうのかなって思いました。
見終わっていろいろ考える中で、いろんな葛藤を経た上で、自分の軸を持つことって大切だよなって改めてしみじみ。



堅苦しい話になってしまいました😅



一番は、ビリーと家族の触れ合いを通して、今の中国の一家庭を見ることができたのが何より面白かったんです。
中国に誇りを持っている人もいれば、
アメリカを知り中国に批判的な人もいて、
その家族の会話劇を通して知る中国は、とても日常的で、とても身近に感じます。

そして、この映画がアメリカでも実際にヒットして、オークワフィナがゴールデングローブ賞を取ったということがすごい!
一つの中国の家族や文化のあり方が欧米にも肯定的に受け入れられたのかな?
日本のことでもないのに、なんだかちょこっと嬉しい気持ちにもなりました。


素敵な異文化交流の旅に連れて行ってくれた出会いに感謝です。
フェアウェル!
Itotty

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